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映画、ときどきその他の鑑賞ログ

楽園の女

  先日何気なく借りたビデオの予告編に入っていて興味をひかれた作品。ウィレム・デフォーが中国で布教活動をする宣教師の役らしいというんで、「ラスト・サムライ」に備える意味でもみておこうかと思いました。もちろん「東洋の異文化の中にいる西洋人」ってことぐらいしか共通点はないんだけど、ま、デフォーさんだからみようかなと。

 舞台は1938年の中国・江南地方(なのかな?)。土地の名家に嫁いで16年、その日40の誕生日を迎えたウー夫人は夫に若い第2夫人を持たせることを決心します。旦那が妾を持つことはその当時珍しいことではなかったし、なにより若い娘をめとらせてたくさん子供でも産ませれば更なる家の繁栄につながるになるみたいな建前はあったものの、ホントは今や煩わしいだけの夫婦関係から解放されたくて自ら進んで嫁探しにでただけ。結局身よりのない自分の息子と同年代くらいの若い娘を買い受けて第2夫人に仕立て上げます。なんだか勝手な奥様。  
 さて旦那の嫁は見つけたし今度は息子の嫁探しと思ったものの、裏で共産党の活動家として暗躍してるようななかなか進歩的な息子は親の言うことをすんなり聞くわけがありませんし、どうやら嫁いできた娘に恋心を抱いた模様。嫁をもらう前にもっと教養を身に付けたいという彼の希望を聞き入れて奥様は個人的にもちょっと興味があったこともあって村はずれに孤児院を構えるアメリカ人宣教師アンドレを家庭教師として招きます。というわけでここからは奥様とデフォーさん扮する宣教師の秘められた恋が展開しつつ、息子と娘の恋を禁じたら娘が自殺未遂をしたり、ダメダメ旦那の遊郭通いは止まらなくなるし、ショックで家長の大奥様が亡くなるとタイミングを計ったように日本軍が侵攻してきて名家は中身も外見もまさに崩壊。そして奥様とデフォーさんの恋の行方はご想像通りの悲恋に...。

 なんと言っても奥様の行動が抑圧された時代の魂の解放やら自由を求めてる以前に単に旧家のやなところから逃れたいだけの身勝手にしか思えないのだけど、それは今どきの目の見方なのかしら。ホントに「解放」されたいなら離縁でも別居でも家出でもすりゃいいだろうに、そんな風に思ってる割にはちゃっかり使用人にお風呂の面倒見てもらいながら優雅に過ごしてるあたりが、なんか違うんじゃないの?という感じ。まず旦那の相手はしたかないから若い娘でもあてがってやれってその考えが「よこしま」以外の何物でもないのでは。その上息子と娘が密会してるのを知ると自分のことは棚に上げといて仲を認めず、娘が家を出て行ってから息子に自分と宣教師との関係を責められると「あなたたちと同じような恋の感情を初めて抱いたのがあの方よ」と。つくづくおめでたい奥様じゃないかしら。
 ダメダメなストーリーに加えてトホホなのが日本軍が侵攻してくるシーン。別に見回りしてる兵隊が口笛で「サクラサクラ」吹いてるのはもしかしてそういう人もいるかも知れないから構わないよ。でも奥様を救うために囮となって町を駆け抜けるデフォーさんを追う兵隊たち(ここだけみると「プラトーン」っぽい…これが撮りたかったためだけにデフォーさんを使ったのか)。その兵隊たちが私の耳には「ごようだ!ごようだ!」言いながら追いかけてるように聞こえました。江戸時代か?正しいのかしら??

 作品自体はノーベル賞作家のパール・バックさんの小説の映画化なんだそうで、この方もまさにこの映画のデフォーさん扮する宣教師と同じように宣教師の両親と共に30年ほどを中国で過ごしたのだそうです。たぶん映画化に当たっては大胆に脚色されてるんだろうとは思いますが、あまりにも内容極薄。IMDBの感想を読みに言ったら「風景がきれい」とかたいしたことは描かれてなかったけど、原作を読んでいる人がこの作品を「単なるハーレークイン・ロマンス」に仕立て上げた製作陣に対して怒りを感じると書いてあって納得。もっともこの脚本の他製作やら主演の奥様まで演じてしまったルオ・イエンという人はラストシーンなどハリウッド的な映画になってしまって残念だ、みたいなことを言ってるらしいけど。
 製作陣といえば、監督は誰よ、と思ってよく見たらなんと「息子の告発」やら富田靖子で「キッチン」をとったイム・ホーではないですか?! 最近名前を聞かないと思ったらこんなの撮っていたなんて(とはいえこれも一昨年の作品ですが…)驚愕。

原題:PAVILION OF WOMEN 監督:イム・ホー 2001年製作
出演:ルオ・イエン、ウィレム・デフォージョン・チョー