ロシアからの亡命者で親の代からチョコレート会社を経営するヘルマンは何不自由のない贅沢な暮らしのなかにおそらくは亡命時からのストレスなのか脅迫概念なのか妄想意識を高ぶらせる。そして妻とその従兄弟の浮気をうかがい知ったことが拍車をかけたのか、それまでの人生を捨てることに思い至る。そして街でルンペンをしていたフェリックスという男に君は自分とうり二つだから入れ替わりの人生を送ってみようと話を持ちかける。実際の彼らはまったく似てなどいないのに。 それまでの自分を葬り去るかのようにフェリックスを殺害/逃亡をはかるものの、あからさまなすり替え劇と人の目を気にするあまりに精神的にも追い込まれたヘルマンは…。
ウラジミール・ナボコフの原作の奇妙な心理劇。怪しげなボガード、プラチナブロンドの肉体派でちょっと足りない印象を与えつつ夫の奇行に戸惑う、存在感たっぷりのフェレオルなど一度見たらその奇妙な後味がいつまでも忘れられない怪作
原題:Despair-Eine Reise ins Licht 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 1978製作
出演:ダーク・ボガード、アンドレア・フェレオル、フォルカー・シュペングラー、ベルンハルト・ヴィッキ