工場を経営する資産家の息子でロンドン帰りのデーヴ、デイヴの家の使用人の娘でずっと好意を抱いていたパロ、たまたま撮られたいかがわしい写真がウェブに流出して家庭が崩壊し、売春宿で働きながら勉強を続けるハーフの少女レニの交錯する人生の物語。
作品の冒頭にダニー・ボイルへの謝辞クレジットがあったので「?」と思ったら、監督さんは『スラムドック$ミリオネア』の現地コーディネーターを務めた人なのだそう。ふーん。そういえばラリ場面の撮り方や色使いは今までみたことのあるインド映画とは違ってボイル風ではあったし、なにより便器に顔つっこむ場面はまさにトレスポ。また、最近のインド映画はこんな感じのが増えてきてるのよねとご専門の方にも伺ったのだけれど、歌の場面はいつものミュージカルみたいに登場人物が歌い出したりするんじゃなくて、スタイリッシュなPV風のイメージ映像的なものがほとんどだったのも、なんか普通と違うなあと思いました。インド映画だって変化してあるべきとは思うけど、歌と踊りがないのは寂しいよなあともおもいつつ、本作はインドでは何度も映画化されている有名な物語とのことだし、こういう新たな切り口で進んでいくのもありなのでしょう。
お話自体は金持ちのボンで勝手な思い違いというか単なる横恋慕にだまされてパロを傷つけたくせに、パロが裕福な別な相手と結婚して、自分が誤解をしていたことに気がついてからは親の金で放蕩生活しながらいじいじうじうじと彼女を追いかけ毎晩酒と薬に溺れるという自虐にしたって都合のいい愚か者っぷりをみせる主人公デイヴに、悪いけど個人的にはまったく共感できなかったので「どーなのよ」と冷めてみてしまいました…。たぶん男の人のほうがその辺はもうちょっと寛容な目で見られるのかもしれません。すみません。傷ついた心を隠して自分の人生歩んでいこうとするレニこと娼婦チャンダーがこんなダメな男に惹かれちゃうのはやっぱり「どうなのよ」と思いつつも、でもそれがありなのはなんとなくわかる。というのは女目線だからかもね。パロがデイヴを見限るのは当然だけどそれでもうーん…と思わないでもないし。
この「デイヴ」はどこかでと思ったら『ロード、ムービー』の彼ですね。そういえば役所も古い家業に反発して飛び出す風のぼんぼんとなんとなく似てる気がしないでもないけど、どこか反抗的で屈折してそうな地顔がそういう役を呼んでいるのだろうか…なんておもったり。再びすんません。
原題:Dev.D 監督:アヌラーグ・カシヤプ
出演:アバイ・デーオール、カールキー・コシュリン、マーヒー・ギル