不世出の天才カンタオール、カマロン・デ・ラ・イスラの生涯を描いた伝記映画。
恥ずかしながらカマロンのことはこの作品を観るまで知らなかったのですが、凄いシンガーです。フラメンコの曲はそれだけで心の奥底をがっつりとわしづかみにされるような魔力に溢れているけれど、この人の声はもう凄いとしかいいようがないです。なんというかむき出しというか。そしてそのいかにも伝統的なフラメンコ歌謡同様に、シタールのようなオリエンタルな民族楽器であったり、エレクトリックなバンドでフュージョン的な楽曲にも挑んでいるところがまたすごく斬新でもう何度もいっているように凄いとしかいえません。とすっかりカマロンの曲に魅せられて映画観賞後にCDを買いあさってしまったんですが、映画のほうに話を戻さないとね。
描かれるのは貧しい子だくさんの家庭で生まれ育ち幼いときから歌の才能はあったものの闘牛士になることを夢見ていたカマロンが父親の死を乗り越え、歌の世界で認められ、パコ・デ・ルシアと出会いその才能をより開花させ、ツアーに明け暮れる疲れと寂しさから薬に手を出し、激情家の恋人との出会いと別れ、生涯の伴侶となる少女チスパとの出会い、つかの間の幸せな生活と病の発覚という結構さらりと流したといえばそうかもしれないけれど、地で劇的カリスマ的なオーラを放っていた人だからその山あり谷ありの生涯を曲を取り混ぜながら描いたならばこういう造りになるのはしょうがないのかもしれません。カマロンに扮したオスカル・ハエナダ(ここ最近だとジャームッシュの『リミッツ・オブ・コントロール』にも出ていたらしい)はほとんど本人が憑依しているかのような、歌の場面とかどうやってとったんだろうと思うほどの熱演ぶりでしたね。映画冒頭のクレジットで流れる「Soy Gitano」のカットは決めすぎなくらいかっこいいです。
原題:Camaron 監督:ハイメ・チャバリ 2005年製作
出演:オスカル・ハエナダ、ベロニカ・サンチェス
@EUフィルムデーズ2009 / スペイン・ラテン映画祭