エイミー・ワインハウスの生涯を追った作品というとドキュメンタリーの『AMY』が先に公開されていたけれど、こちらはドラマ仕立て。
かつて歌手だった父方の祖母シンシアに憧れ慕っていたエイミー。歌い手の血はその祖母譲りか父親も歌がうまく、家族の集まる場で幼い頃から親しんでいたジャズナンバーを披露しては招待客をうならせ、自作の曲も書きためるなどエイミーは才能溢れる少女だった。やがてクラブで歌うようになった彼女はレコード会社の目にとまりスパイスガールズのマネージメント会社と契約、念願の1st アルバムが発売されシングルは全英チャートを賑わせるものの、レコード会社の指示によりアルバムの全米リリースは見送られる。憤懣やるかたないエイミーがとあるバーで知り合ったのがブレイクという名の男。その出会いが彼女の激しくも波瀾の人生のはじまりとなる…。
今回はエイミーと家族のつながりが丁寧に描かれているということで、ドキュメンタリーでの描かれ方に不満があったという彼女の父親のお墨付きだそうだけれど、まさになるほどねという感じ。両親の別居以来、様々なアドバイスを受けてきた(トレードマークになる彼女のヘアスタイルも)祖母との絆のエピソートはドキュメンタリーにはなかったように思う、たぶん。
歌唱力からいってもメジャーデビューの当初からジャズシンガーとしての成功は約束されていたはずのエイミー。しかし全米デビューに待ったをかけるなどレコード会社の横やり、次にはブレイクとの恋愛、マスコミによる執拗な追跡などと完全外野に巻き込まれ型の災難に見舞われたようにも見える。もちろん彼女自身の激しさであったり精神的な脆さ・弱さも描かれるのだけど運が悪いというか悪いのは外野、みたいな描き方を感じないでもない。ホイットニー・ヒューストンの伝記ものと似てるようで似てないようではあるのだけれど、なんとなく思い出しながら見ていた。グラミー賞の感動ステージは見所ではあったけれど、あれだけ憧れ続けて夢がかなったトニー・ベネットとのお仕事シーンはもうちょっと見たかったかも。
エイミーを演じたマリサ・アベラの歌も自分で歌っているそうだけれど、これまたうまい。
原題:Back to Black 監督:サム・テイラー=ジョンソン 2024年製作
出演:マリサ・アベラ、ジャック・オコンネル、エディ・マーサン
