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映画、ときどきその他の鑑賞ログ

ザ・マスター

  オスカーノミネートされていたPTAの映画ぐらいの前情報しか持たずに観たのだけれど、サイエントロジー創始者の半生に着想を得た作品だとのこと。とはいえ、サイエントロジーのことも実際何をしている人たちなのか/具体的にどこがスキャンダラスなのかもあまりよく分かっていないんですが、とりあえず本作に関してはオリジナル脚本であることに驚いたし(今までもそうかもしれないけど)、主要登場人物3人の圧倒的な演技、カメラワークに目がくぎ付け。さすがだ。

 戦争で精神的にダメージを受け、というか以前から抱えていたものがよりダメージが大きくなり自制心が効かない野獣のような男と、新興宗教の「マスター」が運命的とも言えるかも知れないけれどひょんなことから出会い、相手の中に見た自分にないものを突き詰め補おうとすることで自分を高めようとする。たしかにフレディは抑制効かないケダモノみたいな男だけど、カリスマ的な存在であるにもかかわらず自分に対する批判を懐大きく受け止めることの出来ないマスターもまたある意味弱く、浮き世に足を残したままの常人らしさを残している人。だからこそフレディに興味本位というより自分の能力を試すべく救済を試みたり、またはいち個人・友人として手をさしのべようと出来たんじゃないかとも思うけど。

 そういう点では何事にも動じない、オープンに構えているみたいな顔をして実はきちんと警戒しているマスターの奥さんこそすべてを握ってる“裏マスター”といえるんじゃないかという印象。現実にもそういうケースは多々あるような気がしてやっぱこういう肝の据わった女の人って怖いなあと思った次第。

 終わりにはフレディには幸せになれる可能性を感じつつ、そうなってほしいと願ったけど、マスターは突き抜けることが出来なければ今後も苦悩の日々が続くんだろうな。

 PTAの映画に出てくる人々って内側に弱さを抱えて危ういところでなんとか折り合い着けてる人が多い気がする。そういう人物を持ってくることはある種ドラマを作りやすいのかもしれないし、彼の物語の紡ぎ方も個人的には結構好きではあるのだけれど、いかんせんもう少し尺短く作れないのかなーと思うこともしばしば。前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』も時間切れできちんと観れていないというホントに不届きものの自分ですけども、でもあえていうならこれまでの彼の映画で一番好きなのはお手軽な尺でもあるということで『パンチドランク・ラブ』だな。

原題:The Master 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ローラ・ダーン etcetc
@TOHOシネマズシャンテ